実家の片付けで押し入れの奥を開けたら、兄が子どもの頃に遊んでいたファミコンとスーパーファミコンのソフトが、菓子箱にぎっしり詰め込まれた状態で出てきました。カセットだけがバラバラに入っていて、箱や説明書らしきものは見当たりません。「もう誰も遊ばないし、動くかどうかも分からないし」と、燃えないゴミの袋に入れかけたところで、ふと手が止まりました。SNSかテレビか、どこかで「昔のゲームソフトが高く売れる」という話を見た記憶がうっすらあったからです。
結論から言うと、あの菓子箱の中身は「全部が全部お宝」ではありませんでした。ただ、捨てる前に少し調べただけで、思っていたよりずっと実用的な判断ができるようになったのは事実です。この記事では、実家じまいや遺品整理で出てきたレトロゲームを「なんとなく処分する」前に、知っておくと損をしない考え方をまとめます。
「もう遊ばないから」で片付けるには、まだ早いかもしれない
実家の押し入れや納戸には、ファミコン・スーパーファミコン・ゲームボーイあたりのソフトが、本体やコントローラーと一緒に眠っているケースが少なくありません。持ち主だった親やきょうだいはとっくに関心を失っていて、家族からすれば「昔のおもちゃ」の延長にしか見えないのも無理はないと思います。私自身、最初はそのつもりで袋に入れかけました。
ただ、遺品整理や生前整理は「価値があるかもしれないものを、価値が分からないまま処分してしまう」場面が一番もったいないタイミングでもあります。着物や骨董品と同じように、ゲームソフトも「知らずに捨てる」と「調べてから決める」とでは、結果がまったく変わることがあります。
レトロゲームの値段が上がっているのは、勘違いではなかった
調べてみると、ここ数年でレトロゲームの買取相場が上がっていること自体は、複数の専門業者や販売実績のあるお店が共通して指摘している傾向でした。理由として挙げられているのは、主に次のようなことです。
ひとつは、円安を背景にした海外コレクターからの需要です。ファミコンや初期のゲームボーイソフトは海外での人気が根強く、国内に眠っている在庫が積極的に買い付けられているといわれています。もうひとつは、当時のプレイヤー世代――今の30代後半から50代――が、経済的に余裕のできたタイミングで「子どもの頃に遊んだソフトを買い戻す」動きです。リメイク版が出てもオリジナル版の人気が落ちないのは、このためだそうです。
さらに、カセットやCD-ROMといった記録メディア自体が発売から30年以上経ち、劣化で動かなくなる個体が増えていることも影響しています。正常に動作する完動品そのものが年々減っているため、「今動くもの」の希少価値が上がっている、という構図です。加えて、以前は詳しい人しか知らなかった相場情報が、ネットオークションやSNSで誰でも調べられるようになったことも、価格が可視化される一因になっています。
「隠れた名作」や地味なソフトほど、見た目で判断できない
高値がつきやすいのは、誰もが知る人気タイトルの初期版や非売品・限定版だけではありません。発売当時はそれほど話題にならなかったのに、後年になってコアなファンの間で評価が上がり、じわじわ相場が上がっている「隠れた名作」枠のソフトも一定数あります。カプコンの「ガチャフォース」や、ファミコン末期に出た「バトルフォーミュラ」などはその例としてよく紹介されており、パッケージの見た目や知名度だけでは判断がつかないのが厄介なところです。
ハードごとの傾向で言うと、ファミコンは希少タイトル・非売品・初期ロットが海外でも人気が高く、ゲームボーイ系はポケモン関連ソフトを中心に海外需要が伸びているとされています。ネオジオやPCエンジンのCD-ROM²は、もともと本体価格が高く現存数も少ないため、動作するソフトや周辺機器そのものにプレミアがつきやすいハードです。メガドライブは海外版「ジェネシス」としての人気があり、国内よりも海外ルートで高く評価されることがあります。
もちろん、これらはあくまで「値がつきやすい傾向」であって、家にあるソフトが必ず高額になるという意味ではありません。タイトルと状態を見てみないことには、実際のところは分からない、というのが正直なところです。
査定額を左右するのは「箱・説明書」と「動くかどうか」
同じタイトルでも、査定額は状態によって大きく変わります。目安として、外箱・説明書・付属品がそろった完品がもっとも評価が高く、次いで箱がなくても動作するソフト単体、動かないジャンク品、という順番で評価が下がっていくのが一般的な考え方です。ただし「箱がない」「動かない」からといって、査定額がゼロになるとは限りません。ジャンク品でも、修理用の部品として需要があるため買取対象になることが多く、特にネオジオやPCエンジンのように現存数が少ないハードは、壊れていても値がつくことがあります。裸のソフトだけでも、海外での需要があれば取引対象になります。
ここで注意したいのが、査定前の「お手入れ」です。きれいにしようとして分解したり、水洗いしたり、接点復活剤を使いすぎたりすると、かえって評価を下げてしまうことがあります。改造品とみなされたり、内部の基板を傷めてしまったりするリスクがあるためです。乾いた布でほこりを軽く拭き取り、端子部分を綿棒でそっと掃除する程度に留めて、あとは「現状のまま」査定に出すのが結果的に高くなりやすいと言われています。
処分する前に、これだけは確認しておきたい
実際に押し入れの中身を仕分けるとき、私が意識したのはそれほど難しいことではありませんでした。
まず、外箱やコントローラー、ACアダプタ、説明書が、ソフトとは別の場所に保管されていないかを確認すること。実家では、ソフトは押し入れ、箱やケーブル類は別の収納ケースというように、バラバラに保管されていることがよくあります。これらがそろうだけで評価が変わることがあるので、処分の前に一通り探しておく価値はあります。
次に、無理に掃除や分解をしないこと。そして、複数のソフトや本体、周辺機器があるなら、まとめて査定に出すこと。1本ずつ別の業者に持ち込むより、まとめて出したほうが業者側も査定しやすく、効率よく評価してもらえる傾向があるためです。
相場を自分で調べる場合は、フリマアプリや買取専門店の価格表がひとつの目安にはなりますが、同じタイトルでも「箱・説明書の有無」「国内版か海外版か」「動作するかどうか」で価格が数倍違うことも珍しくありません。ネット上の一つの数字だけを見て「この程度か」「意外と高い」と判断してしまうより、レトロゲームを専門に扱う買取業者に無料査定を依頼して、実物を見てもらうほうが確実です。総合リサイクルショップよりも、ゲームに詳しい査定士がいる業者のほうが、希少タイトルや海外需要のあるソフトを見落としにくいとも言われています。
実家の片付けを親と一緒に進める場合の声のかけ方は、以前親を怒らせない実家の片付け方の記事にまとめました。ゲームソフトのような「価値が分かりにくいもの」ほど、本人の思い入れも絡みやすいので、判断を急がせないことも大事だと感じています。
「たかがゲーム」と決めつける前に、査定だけでもしてもらう
結局、あの菓子箱の中のソフトは、査定に出してみたところ大半は数百円程度でしたが、何本かは箱と説明書がそろっていた分だけまとまった金額になり、正直「捨てなくてよかった」と思いました。世界的に見れば数百万円、数千万円という桁違いの値段がついた海外の未開封ソフトの例もあるそうですが、あれはあくまで例外中の例外です。過度な期待をする必要はありませんが、「どうせ二束三文だろう」と決めつけて捨ててしまうのも、少しもったいない気がします。
実家じまいや遺品整理では、着物や骨董品、切手のように「価値が分かりにくいもの」に目が向きがちですが、押し入れの奥のゲームソフトも同じ扱いをしてよいものだと思います。仕分けの手が止まったときは、ゴミ袋に入れる前に、ひとまず箱や説明書を探し、無料査定だけでも受けてみることをおすすめします。判断はそれからでも遅くありません。
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